Meeting Li Guinian in Jiangnan - Du Fu
/江南逢李龟年 - 杜甫/
Meeting Li Guinian in Jiangnan - Du Fu
/江南逢李龟年 - 杜甫/
この詩は、杜甫(とほ)が江南(こうなん)を訪れた際、宮廷音楽家として名声を得ていた李龜年(りきねん)と偶然の再会を果たしたときの感動を詠んだ七言絶句です。
前半の二句では、かつて宮廷や貴族の邸宅でよく顔を合わせ、その芸を聴いていた日々を回想しています。岐王(きおう)の宅や崔九(さいきゅう)の堂という華やかな舞台は、杜甫が若き頃に一時的とはいえ上流階級の社交場に身を置き、盛んな文化と芸能に触れていたことを象徴しています。
後半に入ると、その過去の思い出を懐かしむだけではなく、現在の江南のすばらしい風景に包まれた中で、散りゆく花の時節に旧友と再び相まみえる喜びが鮮やかに描き出されます。当時は安史の乱による戦乱の影響で社会が混乱をきわめていたため、偶然の再会もまた格別の感慨を誘ったのでしょう。落花が舞う季節という、儚さと美しさが入り混じる情景が、再会の奇跡をいっそう印象深くしています。
杜甫の詩には、戦乱と流転の人生を反映した深刻な嘆きが表れることが多い一方、こうした再会や自然の美を素直に喜ぶ作品も少なくありません。『江南逢李龜年』は、失われた宮廷の栄華をしのびつつも、思いもよらない場所での友との再会に心を震わせる感動が込められた作品として広く愛誦されています。
• かつての宮廷や貴族の社交空間を共有した仲間との思い出
• 戦乱の時代における、偶然の再会がもたらす大きな喜び
• 江南の春景色が再会の情をいっそう鮮明に彩る
• 杜甫の人生観や過去の経験が、短い詩句の中で豊かに表現されている