[古典名詩] 知性の美への賛歌 - 人間の精神と自然の中に宿る崇高な美を探求する詩

A surreal and ethereal depiction of light breaking through clouds over a tranquil lake surrounded by lush greenery, symbolizing the elusive beauty of intellect and spirit.

Hymn to Intellectual Beauty - Percy Bysshe Shelley

知性の美への賛歌 - パーシー・ビッシュ・シェリー

神秘的な光に満ちた魂の詩篇

The awful shadow of some unseen Power
見えざる力の畏れ多い影
Floats though unseen among us; visiting
見えぬまま私たちの間を漂い、訪れて
This various world with as inconstant wing
この多様な世界に、変わりやすい翼で
As summer winds that creep from flower to flower;
夏の風のように花から花へと這うように;
Like moonbeams that behind some piny mountain shower,
松の山の向こうから降り注ぐ月光のように,
It visits with inconstant glance
それは変わりやすい視線で訪れる
Each human heart and countenance;
それぞれの人間の心と表情に;
Like hues and harmonies of evening,
夕暮れの色合いや調和のように,
Like clouds in starlight widely spread,
星明かりの中で広がる雲のように,
Like memory of music fled,
過ぎ去った音楽の記憶のように,
Like aught that for its grace may be
その優美さのために何であれ
Dear, and yet dearer for its mystery.
愛おしく、そしてその神秘ゆえにさらに愛おしい。
Spirit of BEAUTY, that dost consecrate
美の精よ、汝が聖別するもの
With thine own hues all thou dost shine upon
汝が照らすすべてに汝自身の色をもって
Of human thought or form, where art thou gone?
人間の思想や形において、汝はどこへ去ったのか?
Why dost thou pass away and leave our state,
なぜ汝は去り、我々の状態を残していくのか、
This dim vast vale of tears, vacant and desolate?
この暗く広大な涙の谷、空虚で荒れ果てた場所を?
Ask why the sunlight not for ever
尋ねよ、なぜ陽光は永遠に
Weaves rainbows o'er yon mountain-river,
あの山川の上に虹を織らないのか、
Why aught should fail and fade that once is shown,
一度現れたものがなぜ失敗し消え去るのか、
Why fear and dream and death and birth
なぜ恐れと夢、死と生が
Cast on the daylight of this earth
この地球の昼の光に
Such gloom—why man has such a scope
このような暗さを投げかけるのか—なぜ人間にはこれほどの範囲があるのか
For love and hate, despondency and hope?
愛と憎しみ、落胆と希望のために?
No voice from some sublimer world hath ever
崇高なる世界からの声はこれまで一度も
To sage or poet these responses given—
賢者や詩人にこれらの答えを与えたことはない――
Therefore the names of Demon, Ghost, and Heaven,
それゆえ、悪魔、幽霊、そして天国という名前は
Remain the records of their vain endeavour,
彼らの無駄な努力の記録として残っている
Frail spells—whose uttered charm might not avail to sever,
弱い呪文――その発せられた魅力が切り離すことができなかったのは
From all we hear and all we see,
私たちが聞くすべてのこと、そして見るすべてのことから
Doubt, chance, and mutability.
疑い、偶然、そして変わりやすさである。
Thy light alone—like mist o'er mountains driven,
あなたの光のみ――山々を越えて流れる霧のように
Or music by the night-wind sent
または夜風によって運ばれる音楽のように
Through strings of some still instrument,
静かな楽器の弦を通して
Or moonlight on a midnight stream,
または真夜中の小川に差し込む月明かりのように
Gives grace and truth to life's unquiet dream.
生きている間の不安定な夢に優雅さと真実を与えている。
Love, Hope, and Self-esteem, like clouds depart
愛、希望、そして自尊心は、雲のように去り
And come, for some uncertain moments lent.
そして、不確かな僅かな時間のために戻ってくる。
Man were immortal, and omnipotent,
人間は不死で全能であるかのように、
Didst thou, unknown and awful as thou art,
あなたが、未知で畏敬の念を抱かせる存在として、
Keep with thy glorious train firm state within his heart.
その栄光に満ちた列と共に彼の心の中でしっかりと居続けたなら。
Thou messenger of sympathies,
共感の使者よ、
That wax and wane in lovers' eyes—
恋人たちの目に満ち欠けするもの——
Thou—that to human thought art nourishment,
人間の思考にとっての糧なるあなた、
Like darkness to a dying flame!
死にゆく炎にとっての闇のごとく!
Depart not as thy shadow came,
あなたの影が来たように去ることなく、
Depart not—lest the grave should be,
去らないで——墓が
Like life and fear, a dark reality.
生命や恐れのように、暗い現実となることを避けるために。
While yet a boy I sought for ghosts, and sped
まだ少年の頃、幽霊を求め、急ぎました
Through many a listening chamber, cave and ruin,
多くの静まり返った部屋、洞窟、廃墟を通って
And starlight wood, with fearful steps pursuing
そして星明かりの森を、恐る恐る追いながら
Hopes of high talk with the departed dead.
亡き者たちと高尚な会話を交わす希望を抱いて
I called on poisonous names with which our youth is fed;
私たちの若者が教え込まれた毒にも似た名前を呼びましたが
I was not heard—I saw them not—
私は聞かれず、彼らを見ませんでした
When musing deeply on the lot
運命について深く思いを巡らしているとき
Of life, at that sweet time when winds are wooing
その甘美な時に、風がすべての生命あるものを誘う
All vital things that wake to bring
目覚めたばかりの生き生きとしたものすべてがもたらす
News of birds and blossoming,—
鳥や花々の便りを
Sudden, thy shadow fell on me;
突然、あなたの影が私に落ちました
I shrieked, and clasped my hands in ecstasy!
私は叫び、恍惚として手を組み合わせました!
I vowed that I would dedicate my powers
私は誓った、自分の力を捧げると
To thee and thine—have I not kept the vow?
あなたとあなたのものに―その誓いを守らなかったのか?
With beating heart and streaming eyes, even now
鼓動する心と涙で溢れる目で、今もなお
I call the phantoms of a thousand hours
私は千の時の幻影を呼び起こす
Each from his voiceless grave: they have in visioned bowers
それぞれが声なき墓から:彼らは幻想的な庭で
Of studious zeal or love's delight
勤勉な熱意や愛の喜びの中で
Outwatched with me the envious night—
私と共にねたむ夜を過ごし―
They know that never joy illumed my brow
彼らは知っている、喜びが私の眉を照らしたことがないと
Unlinked with hope that thou wouldst free
あなたが解放することを希望せずには
This world from its dark slavery,
この世を暗黒の奴隷状態から
That thou—O awful LOVELINESS,
あなたよ―おお畏れ多い美しさよ、
Wouldst give whate'er these words cannot express.
これらの言葉では表せないものを与えてくれるだろうと。

詩の概要

「知的美への賛歌」(Hymn to Intellectual Beauty)は、イギリスのロマン派詩人パーシー・ビッシュ・シェリーによって書かれた詩です。この詩は、目に見えない「美」や「知性」という概念を神格化し、それが人類の生活や感情に与える影響を探求しています。シェリーは、形而上学的なテーマと自然の描写を融合させ、美がいかにして人々の精神世界を形成するかを考察しています。

詩の構造とテーマ

この詩は7つのスタンザで構成され、各々が異なる視点から「知的美」について語っています。主要なテーマには以下のようなものがあります:

  • 目に見えない力への畏敬: 詩は「恐れを抱かせる影」で始まり、読者に「知的美」が物理的には見えないが、その存在が深く感じられるという印象を与えます。
  • 一時性と変化: 美しさや感動は風や月光のように一瞬であり、すぐに消え去るという考え方が強調されています。
  • 哲学的探求: シェリーは、「なぜ人生には愛や希望、恐れや絶望があるのか?」といった深い問いを投げかけ、人間の存在そのものの意味を探ります。
詩の内容詳細

最初のスタンザでは、「awful shadow of some unseen Power」(恐るべき見えざる力の影)として「知的美」が紹介されます。それは夏の風や月明かりのように不規則に現れ、人々の心に影響を与えます。

次のスタンザでは、夕暮れの色彩や星明かりの中の雲、過ぎ去った音楽の記憶など、儚いものの比喩が使われています。これらの描写を通じて、美しさがその謎ゆえにさらに魅力的であることが示唆されています。

第三のスタンザでは、「Spirit of BEAUTY」(美の精霊)へ直接呼びかけ、それがなぜ私たちの世界から去ってしまうのか疑問を投げかけています。この質問は、人生における喪失感や孤独感と結びついています。

第四のスタンザでは、虹や自然界の驚異が永遠ではない理由、そして人生の喜びや悲しみが混在する理由について思索します。これらすべてが「知的美」の不在と関連づけられています。

第五のスタンザでは、デーモンや幽霊、天国といった概念が登場し、それらが人間の理解を超えた存在であることを指摘します。それでもなお、私たちは「Doubt, chance, and mutability」(疑念、偶然、変化)と共存しなければならないと述べられます。

第六のスタンザでは、美しさの光が山脈の霧や夜風に運ばれる音楽のように、不安定な人生に優雅さと真実を与えると表現されています。

最後のスタンザでは、シェリー自身の幼少期からの体験が描かれます。彼はかつて幽霊を求め、暗闇の中で「知的美」の影を感じ取り、感動したと告白します。また、自分がこの美への献身を生涯貫いたと主張し、それを通じて世界を暗黒の奴隷状態から解放したいという願望を表明します。

結論

シェリーの「知的美への賛歌」は、形而上学的な美への賛美でありながら、人間の有限性や無常に対する深い洞察を提供しています。この詩は、読者に「美」という抽象的概念がどのようにして個人の内面や外界に影響を与えるのかを考えさせる力を持っています。また、シェリーの言葉選びや自然描写は、その思想をより豊かで感情的なものにしています。

要点

この詩は、目に見えないが感じられる知性の美しさを称え、それが人生にもたらす啓発や感動を描いています。シェリーは、知識と想像力の力を通じて私たちがより高い意識へと昇華することを信じており、読者に内なる探求と美への感謝を促します。

コメント
    楽しい時は時間が経つのが早いですね!
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