The Destruction of Sennacherib - Lord Byron
セナケリブの破壊 - ロード・バイロン
古代戦争と崩壊の詩的描写
The Assyrian came down like the wolf on the fold,
アッシリア人は狼のように丘に降り立った、
And his cohorts were gleaming in purple and gold;
そして彼の軍勢は紫と金に輝いていた；
And the sheen of their spears was like stars on the sea,
彼らの槍の輝きは海の星のようだった、
When the blue wave rolls nightly on deep Galilee.
青い波が夜ごとにガリラヤの深くで揺れるとき。
Like the leaves of the forest when Summer is green,
夏の緑濃き森の葉のように、
That host with their banners at sunset were seen:
あの軍勢は夕陽の中で旗とともに見られた：
Like the leaves of the forest when Autumn hath blown,
秋の風が吹き抜けた後の森の葉のように、
That host on the morrow lay withered and strown.
その軍勢は翌朝には枯れ果て散らばっていた。
For the Angel of Death spread his wings on the blast,
死の天使が嵐の中で翼を広げ、
And breathed in the face of the foe as he passed;
通り過ぎる敵の顔に息を吹きかけた；
And the eyes of the sleepers waxed deadly and chill,
眠る者の目は死のように冷たくなっていった、
And their hearts but once heaved, and for ever grew still!
そして彼らの心臓は一度だけ脈打ち、永遠に静かになった！
And there lay the steed with his nostril all wide,
そこに馬は鼻孔を開いたまま横たわり、
But through it there rolled not the breath of his pride;
しかし、誇り高き息吹はもうそこにはなかった；
And the foam of his gasping lay white on the turf,
そして喘ぐ泡は芝生の上で白く残り、
And cold as the spray of the rock-beating surf.
岩を打つ波しぶきのように冷たかった。
And there lay the rider distorted and pale,
そして騎手は歪んで蒼白に横たわり、
With the dew on his brow, and the rust on his mail:
額には露が付き、鎧には錆が浮いていた：
And the tents were all silent, the banners alone,
そして天幕はすべて静まり返り、旗だけが、
The lances unlifted, the trumpet unblown.
槍は持ち上げられず、ラッパは吹かれなかった。
And the widows of Ashur are loud in their wail,
アッシュールの未亡人たちは嘆き声をあげ、
And the idols are broke in the temple of Baal;
バアルの神殿の偶像は打ち壊され、
And the might of the Gentile, unsmote by the sword,
剣によって傷つけられることのなかった異教徒の力は、
Hath melted like snow in the glance of the Lord!
主のひと目に触れて雪のごとく溶け去った！
『セナケリブの破滅』について
作者：ロード・バイロン（Lord Byron）
作品名：The Destruction of Sennacherib（セナケリブの破滅）
短縮ID：opkuuhza
この詩は、旧約聖書「列王記」に登場するアッシリア王セナケリブの軍勢が、神の介入によって一夜にして壊滅させられるという物語を基にしています。バイロンはその出来事を劇的かつ象徴的に描写し、人間の力と神の力の対比を強調しています。
詩の内容解説
第1連
「The Assyrian came down like the wolf on the fold, / And his cohorts were gleaming in purple and gold;」
アッシリア軍が狼のように襲いかかる様子が描かれています。「紫と金」で輝く兵士たちは、その軍事力と威厳を象徴しています。
「And the sheen of their spears was like stars on the sea, / When the blue wave rolls nightly on deep Galilee.」
槍の輝きがガリラヤ湖上の星々のように見える描写は、軍勢の壮大さと同時に儚さを感じさせます。
第2連
「Like the leaves of the forest when Summer is green, / That host with their banners at sunset were seen:」
夏の緑豊かな森の葉のように繁栄した軍勢が夕陽の中で見られた様子が述べられます。
「Like the leaves of the forest when Autumn hath blown, / That host on the morrow lay withered and strown.」
しかし翌朝には秋風に枯れ落ちた葉のように、その軍勢は散らばり崩壊します。自然の営みを通じて軍勢の運命が暗示されています。
第3連
「For the Angel of Death spread his wings on the blast, / And breathed in the face of the foe as he passed;」
死の天使が嵐に乗って広げた翼で敵に息を吹きかけた瞬間、すべてが終わる描写です。
「And the eyes of the sleepers waxed deadly and chill, / And their hearts but once heaved, and for ever grew still!」
眠っていた兵士たちの目が冷たく凍りつき、心臓が一度だけ動き、永遠に静まり返ります。ここでは神による即座の裁きが表現されています。
第4連
「And there lay the steed with his nostril all wide, / But through it there rolled not the breath of his pride;」
馬が鼻孔を開いたまま倒れている姿は、その誇り高き息がもう感じられないことを示しています。
「And the foam of his gasping lay white on the turf, / And cold as the spray of the rock-beating surf.」
苦しみ喘ぐ泡が白く芝生に残され、それは岩にぶつかる波しぶきのように冷たいものです。
第5連
「And there lay the rider distorted and pale, / With the dew on his brow, and the rust on his mail:」
騎士もまた青ざめ歪んだ姿で横たわり、額には露が付き、鎧には錆が浮かびます。
「And the tents were all silent, the banners alone, / The lances unlifted, the trumpet unblown.」
テントは静まり返り、旗だけが立ち、槍は持ち上げられることもなく、ラッパも鳴らされることはありません。完全な静寂が支配している様子が伝わります。
第6連
「And the widows of Ashur are loud in their wail, / And the idols are broke in the temple of Baal;」
アッシュールの未亡人たちは悲しみに暮れ、バアル神殿の偶像は壊されます。
「And the might of the Gentile, unsmote by the sword, / Hath melted like snow in the glance of the Lord!」
剣による戦いなしに異教徒の力は雪のように溶け去り、神の一瞥の前で無力であることが示されます。
全体的なテーマとメッセージ
この詩は、地上における人間の力や権威がどれほど強大であっても、神の力の前では無力であることを強調しています。自然や死の天使といった超越的な存在が、人間の傲慢さを打ち砕くという寓意が込められています。バイロンは、美しい言葉と象徴的な描写を通じて、読者に深い感動と畏怖を与えています。
要点
この詩は、戦争の残虐さと神の力による突然の破壊を描き出し、人間の傲慢さがいかに儚いものであるかを読者に伝えています。また、バイロンの巧みな韻律と色彩豊かな描写を通じて、古代の歴史的出来事を生き生きと蘇らせています。
