送杨氏女 - 韦应物
送杨氏女 - 韦应物
送杨氏女 - 韦应物
送杨氏女 - 韦应物
この詩は、韋応物が“杨氏の娘”を送り出す際の情景を描いたものです。夜も更け、若い娘が機織りの仕事を終えたところから物語が始まり、そのまま遠方へと旅立たねばならない状況が示されています。
第一句「罢织鸣机夜欲阑」は、機織りの音が止み静寂に包まれる夜更けの様子を描くと同時に、娘の労働の終わりと人生のある一節の終焉をも象徴します。続く「长途前路更漫漫」では、旅の行く先が見通せないほど遠く、少女の前に広がる大きな不安と、まだ終わらぬ過酷な道のりが暗示されます。
三句目「家人折尽长杨柳」は、送別の際に柳の枝を折って相手に手渡すという古来の風習が反映されています。柳は“留(とど)める”とも同音であり、別れに際して少しでも心をつなぎ留めようとする気持ちが込められているのです。最後の「春色依依不忍看」は、旅立ちの時期がちょうど春の名残を惜しむ頃合いであり、娘や家族にとっていっそう心が揺さぶられる季節感を強調します。美しく穏やかな春の風景を最後に見る娘の姿は、これから先に続く人生の不確かさや、家族と離れる寂しさを際立たせます。
韋応物は官吏としての経験を持ちつつ、人間の細やかな情や自然の移ろいを優美にとらえる詩風を特徴としました。本作では、別れの儀式の象徴でもある柳の枝と、そこに寄り添う春のやわらかな光景が、送り出される娘と家族の複雑な感情を浮き彫りにしています。わずか四句ながら、別離の切なさや人生の転機における希望と不安が織り込まれ、古典詩の魅力である余韻を深く味わえる作品となっています。
・送別の象徴としての柳の枝に宿る別れの情
・春の穏やかな情景と娘の旅立ちが強調する哀愁
・短い詩行に凝縮された家族の想いと唐代の風習