[古典名詩] 江亭夜月送别二首(其二) - 夜の川辺に漂う別れと郷愁の光景

River Pavilion under Moonlight, Two Farewells (No. 2)

江亭夜月送别二首(其二) - 柳宗元

江亭夜月送别二首(其二) - 柳宗元

川辺の夜月に映す遥かな別れの情

隔岸萧笳起,
対岸に響く笳の音がもの寂しく立ち上がり,
From the far shore rises the plaintive note of a reed flute,
孤舟夜色斜。
一艘の小舟に夜の影が傾いてゆく。
While nightfall tilts upon a lone boat.
别君同此夕,
君との別れもまた この夜とともにあり,
Parting from you beneath the same night sky,
江月共天涯。
川面に映る月は、共に果てなき旅路を見つめる。
While the river moon unites us across distant horizons.

この詩は、夜の川辺で友を見送る情景を題材として描いた、柳宗元による送別詩の第二作とされています。秋や夜といった静謐な時間帯が舞台となり、対岸で響く笳(ふえ)の音や、傾く夜の影が、別れに漂う寂しさをいっそう際立たせています。古来、中国詩の中で“送別”はごく一般的なテーマですが、柳宗元の詩はそこに深い情感と孤高の趣を織り込むことで独自の余韻を生み出しているのが特徴です。

冒頭の「隔岸萧笳起」は、対岸からかすかに聴こえる笳の音を示しています。河を挟んで向こう岸との距離が強調されると同時に、心の中の隔たりや遠ざかる友人への思いをも暗示しているかのようです。次の「孤舟夜色斜」では、小舟の上に移り変わる夜の光を描き、流動的で儚い時間の経過が視覚的に伝わります。

後半の「别君同此夕」は、まさに今宵を境にして友との縁が物理的に離れてしまう寂寥を表しながら、同じ夜空の下で心だけは通い合っているという微かな慰めが読み取れます。続く「江月共天涯」では、川面に映る月が果てしない天涯へ続く象徴として登場し、遠く離れても同じ月を仰ぐことで心は一つに結ばれているという送別詩ならではの余韻を残します。

柳宗元の作品には、政治的左遷や流転の人生を反映しつつ、自然の様相を通じて人の感情を奥深く描き出す手法が多く見られます。音や光、広がりをもつ風景といった要素によって、限りなく続く別離の悲しみと一瞬に宿る美しさを際立たせている点が大きな魅力です。この詩でも、夜の静けさの中にほんの少しの救いと切なさを同時に感じることができ、読む者にしっとりと染み入る世界観を提示してくれます。

要点

・夜の川辺に響く笳の音や月の光を通じて描かれる別れの切なさ
・柳宗元の左遷人生を背景とする孤独と友情への深い想い
・自然描写と感情表現が溶け合った、古典詩ならではの美と余韻

楽しい時は時間が経つのが早いですね!
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