曲江二首(其二) - 杜甫
曲江二首(その二) - 杜甫
曲江二首(其二) - 杜甫
曲江二首(その二) - 杜甫
この詩は、杜甫が晩年に生活苦や官職からの疲労を抱えつつも、自然や酒の力を借りて心の自由を求めた心境を映し出しています。冒頭の「朝回日日典春衣」は、日々の生計を立てるために春の衣服を質に入れるほど困窮しながらも、川辺で酒に酔う生活を続けている姿を描写しています。そこには、人生のはかなさや先行きへの不安がありながらも、酒によって一時の気晴らしを得ようとする人間の姿が浮かび上がります。
また「人生七十古来稀」は、古くから七十年の人生はめずらしいことだとされてきた中国の伝統的な価値観を示しています。人生の短さゆえに、今この瞬間を楽しむ大切さが強調されるわけです。蝶や蜻蛉(とんぼ)などの小さな生きものを繊細に描くことで、目には見えにくい自然の移ろいを映し出し、人の営みと自然のサイクルが一体となっていることを感じさせます。
最後の「傳語風光共流轉、暫時相賞莫相違」は、移り変わる景色を友とし、その変化とともに楽しもうとする一種の諦観とも読めます。困窮していても、自然の美しさと酒の力を借りて束の間の慰めを得る。その刹那の喜びを分かち合うことで、短い人生を彩り豊かに生きていこうとする思いが込められているのです。杜甫の人生観と詩情が凝縮された名作として、多くの人の心をとらえてやみません。
・人生のはかなさを受け入れながら、今を楽しむ姿勢
・自然や酒のもたらす慰めの大きさ
・七十年の生を希少と見る伝統的な価値観
・自然の移ろいと人の営みが共に流転する世界観
・苦境のなかでも詩的感性を失わずに生きる杜甫の強さ