[古典名詩] エルビンゲローデのアルバムに書かれた詩 - この詩の概要

Lines Written in the Album at Elbingerode

Lines Written in the Album at Elbingerode - Samuel Taylor Coleridge

エルビンゲローデのアルバムに書かれた詩 - サミュエル・テイラー・コールリッジ

森の奥で出会う幻影と内省の旅

I stood on Brocken's sovereign height and saw
私はブロッケンの高々とそびえる頂に立ち、目にした
Woods crowding upon woods, hills over hills,
森が重なり合い、丘が重なり合う光景を
A surging scene, and only limited
それはうねるような景観で、ただ
By the blue distance. Heavily my way
青い遠景によってかすかに制限されていた。私の足取りは重く
Downward I dragged through fir groves evermore,
トウヒの林をずっと下りながら進んだ
Where bright green moss heaves in sepulchral forms
そこでは明るい緑の苔が墓のような形で盛り上がり
Speckled with sunshine; and, but seldom heard,
陽光にまだらに照らされていた。そして、ほとんど聞こえないながらも
The sweet bird's song became an hollow sound;
美しい鳥のさえずりは空ろな響きとなり
And the breeze, murmuring indivisibly,
そよ風はかすかな囁きを立てながら
Preserved its solemn murmur, under which
その厳かな音色を保ち、その下では
The aged trees bowed varying their high tops.
老いた木々が高い梢を揺らしながら身をかがめていた。
But now, emerging from the forest gloom,
しかし今、森の暗がりを抜け出すと
I saw before me a descent of steps
目の前には階段を下る道が見え
That led me to a lonely Delphic shrine
それは私を孤独なデルフォイの神殿へと導いた
Of Sibyl-like, but somewhat dwarfed form;
そこにはシビュラのようだが、やや小柄な姿をした
Where sat an Idol, like the solemn Past,
偶像が鎮座しており、それは厳粛な過去のようだった
That never had been youthful, nor was old;
若かったこともなければ、老いたこともない存在
With face most calm and pitiless, and lips
その顔は極めて静かで容赦なく、唇は
That had no kindred with humanity.
人間味とは無縁のものであった。
And the man-presence that had passed me by
かつて私の前を過ぎ去った人の存在が
In palmy days of fancy, arrived anew
幻想に満ちたあの盛時から再び現れ
As by appointment, or by Fate's command,
あたかも約束されたか、運命に命じられたように
To judge me for the deep idolatries
私が未だ捨てきれない深い偶像崇拝を裁くために
I still had clung to. How the stern new face
やって来た。その厳しい新しい顔は、いかにして
Put by the sweet illusions which had made
かつて魅力と栄光に包まれていた甘美な幻想を
The wonder and the glory of the scene!
押しのけたことだろう!
And yet its calmness wore the shade of scorn,
それでもその静けさには軽蔑の影が宿り
With mild severity frowning from its brows.
穏やかながら厳しい眼差しがその額からにじみ出ていた。
A voice said—'Hence, vain phantasies! Images,
声が言った——「去れ、むなしい幻想よ! イメージたちよ、
Hence! for your fictions, airy though they be,
去れ! お前たちの虚構は、たとえ儚いものであっても、
Yet will ye have existence in my sense
私の感覚の中では、なお存在を持ち得るのだ
At times, as if they were realities!'
時には、それがあたかも現実のように!」

この詩は、サミュエル・テイラー・コールリッジがハルツ山地のブロッケン山を訪れた経験と、そこで感じた内面的な変容や精神的な啓示を描き出した作品です。まず、詩の冒頭では、詩人がブロッケンの頂上に立ち、無数の森と丘が重なり合いながら遠方の青い空へとつながっていく広大な景色を目にします。うねるような自然の壮大さは、詩人に畏敬の念を抱かせるだけでなく、ある種の幻想的な魅力を与えています。しかし、その美しい情景に没入しながらも、彼は道を下りながら暗く重たい気配を感じ始めます。苔むした林やほとんど聞こえない鳥の鳴き声は、やがて空虚な音へと変化し、微かな風の音が厳粛な雰囲気を際立たせるのです。

やがて詩人は森林の暗がりを抜け出し、デルフォイの神殿を思わせる孤立した霊所にたどり着きます。そこには半ば小柄ながらも厳粛な雰囲気を漂わせる偶像が鎮座し、若さも老いも超越した不変の存在のように描かれます。その表情には人間的な温かみや変化がなく、静かだが容赦のない冷厳さを備えています。ここで、かつて詩人が抱いていた幻想や、美しくもはかないイメージが、偶像の前で突き崩されるように感じられます。この偶像は、人間が抱く様々な「偶像崇拝」を否定するかのように登場し、詩人に対し「真の覚醒」や「現実との対峙」を突きつけているかのようです。

ブロッケン山は伝説的にも神秘的にも多くの物語の舞台となっており、特に霧の中に自分の巨大な影が映し出される「ブロッケン現象」でも知られています。その象徴的な背景を借りながら、コールリッジはこの詩の中で、人間の想像力と現実世界との接点、あるいは幻想の崩壊を描写していると考えられます。上部の壮大な自然に感嘆する詩人の姿は、人間が自然の神秘に魅せられるときの姿を表す一方で、その後に訪れる重く暗い道のりは、人が内省や疑念を深めていく段階を示唆します。

最後に出現する「声」は、幻想や虚構の儚さを示しつつも、それらが人間の感覚の中にある種の「現実」をもたらし得ることを暗示しています。すなわち、作り物であってもイメージや幻想は、私たちの心の中では時に真実と同等の感触を放つというパラドックスです。コールリッジはロマン主義詩人として、想像力の力と危うさの両面を強く意識していたことが窺えます。

要するに、この作品は自然の広大さを背景にした人間の内面の探求の旅と言えます。神秘に満ちた森と遠景の美しさ、その後に見出される陰鬱な空気、そして偶像の前で突きつけられる厳しい覚醒と「虚構」の意味。そこには、人間がいかにして自己の幻想と対峙し、どのように真実の声に耳を傾けていくかという大きなテーマが含まれています。コールリッジの巧みな自然描写と象徴的なイメージが織りなすこの詩は、ロマン主義の典型的な精神性と、想像力を通じて人間の存在に迫ろうとする強い意志を示しています。

要点

• 自然の壮大さと幻想の相互作用が描かれている
• 内省の過程で幻想が崩れ、より厳粛な真実と対峙する
• 想像力の力と危うさの両面を示すロマン主義の特徴が顕著
• 人間が抱く偶像や虚構は、一時的に現実と同等の意味を持ち得るというパラドックス
• 自己の内面を見つめ、幻想と現実を問い直す重要性を訴えている

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