醉赠刘二十八使君 - 白居易
醉贈劉二十八使君(すいぞうりゅうにじゅうはちしくん) - 白居易(はくきょい)
醉赠刘二十八使君 - 白居易
醉贈劉二十八使君(すいぞうりゅうにじゅうはちしくん) - 白居易(はくきょい)
本作「醉贈劉二十八使君(すいぞうりゅうにじゅうはちしくん)」は、酒の席での別れを題材にした白居易(はくきょい)の作品と伝えられます。人生の盛りとされる若き時に出会った友人との縁が、杯を交わすうちに深まり、時が経つにつれて別れが避けられない運命を詩の形で嘆いています。
第一句「年少相逢酒一卮」では、若いころに巡り合い、盃(はい)を傾けたかつての情景が生き生きと描き出されています。友情の始まりや青春の活気を感じさせると同時に、そんな輝かしい思い出だからこそ、別れの哀感が一層強まることを暗示しているのです。
第二句「心中離恨幾人知?」で述べられる“離恨”は、“離れ離れになる苦しみ”を指す重要な言葉です。どれだけ相手との絆が深くとも、その離別の痛みを他者が完全に理解することは難しいという、本質的な孤独感を示唆しています。
第三句「春風不解留人意」は、春の穏やかで生き生きとした風景があっても、人が抱く別れを惜しむ切実な思いは自然と無関係に進んでいくことを表現しています。季節の巡りは容赦なく、どんなに強く願っても大切な人を引き留めることはできないという歯がゆさがにじみ出ます。
最後の「吹散愁懐到別時」は、吹きすさぶ春風が、別れを悲しむ気持ちや胸に抱えた切なさを吹き散らしてしまう――ある意味では、悲しみさえも風とともに流れ去っていくという感覚を伝えています。しかし同時に、悲しみが風に解き放たれることで、やがては新たな出会いや次の人生の一歩へ向かう活力になるとも読めます。
白居易は酒宴や送別の場面を題材にした詩を多く残しており、シンプルな言葉で普遍的な感情を捉えるのが特徴的です。特に送別や離別といったテーマでは、人間のはかなさや友情の尊さを強く印象づける表現が多く見られます。この詩は、人生における大切な人との瞬間をどれほど大事にしても、それでもなお押し寄せる別れの不可避性と、その悲しみを受け止めながら生きていくほかない人間の姿を映し出していると言えるでしょう。
・若き日の酒宴が友情のはじまりと儚さを象徴
・離別の痛みを他人が完全に理解することは困難
・春風という自然描写が、無情にも別れの刻を後押し
・白居易の平易かつ叙情豊かな作風が、今なお共感を呼ぶ