Paradise Lost (Book 4) - John Milton
失楽園(第四巻) - ジョン・ミルトン
Paradise Lost (Book 4) - John Milton
失楽園(第四巻) - ジョン・ミルトン
ジョン・ミルトンの『失楽園』第四巻では、いよいよサタンがエデンの園(楽園)に足を踏み入れ、アダムとイヴとの直接的な対比が明確になっていきます。前の巻までに、サタンは神への復讐心を燃やしながら地獄を脱し、人間界を探し求める旅を続けてきましたが、この第四巻でついに“無垢な楽園”を探し当てることに成功するのです。
一方、読者は初めてアダムとイヴの日常生活に触れます。そこでは二人が、自然や動物たちと調和を保ちながら、まだ罪を知らない平和な生活を送っている姿が非常に美しく描かれます。ミルトンは、彼らの愛情や礼拝が神の意志に完全に合致している様子を、叙情豊かに表現し、“人間本来の姿”がいかに神聖であるかを強調します。
しかし、サタンが遠くから彼らの姿を覗き見る場面において、その純粋さや平和がサタンの内面に矛盾した感情を引き起こす――すなわち、一瞬自分の過ちを後悔するものの、すぐに再び反逆の意志を強めてしまう――という複雑な心理が克明に描かれます。これにより、サタンが単なる“絶対悪”ではなく、高い地位から堕とされた悲劇性を帯びた存在であることが強く際立つのです。
さらに、神が送り出した天使ウリエルやガブリエルらによって、サタンの侵入は監視されつつあり、緊張感が高まっていきます。この巻の終盤では、サタンがガブリエルによって楽園から一度追放される描写も挟まれ、物語はいよいよ“人間の堕落”に向けて本格的に動き出すのです。このように第四巻は、楽園の美しさとサタンの策略が初めて交差する重要な転機となっており、“純粋なる愛と悪意”の対比を強烈に印象づける巻となっています。
• サタンがついに楽園(エデン)を見つけ、アダムとイヴの無垢な生活と対比される
• アダムとイヴの神聖な愛や調和が詳細に描かれ、“人間本来の姿”が光を放つ
• サタンの内面では一瞬の後悔と再び燃え上がる反逆心とが交錯し、複雑な悪役像を際立たせる
• ガブリエルをはじめとする天使たちによる監視とサタンの追放が描かれ、物語はいよいよ人間の堕落への伏線を強める