登柳州城楼(其二) - 柳宗元
登柳州城楼(其二) - 柳宗元
登柳州城楼(其二) - 柳宗元
登柳州城楼(其二) - 柳宗元
「登柳州城楼(其二)」は、柳宗元が左遷の地である柳州に暮らしたときの心情を色濃く反映した詩の一つです。高楼に登り、遥かに続く荒れた景色や、海と空に溶け込むような憂いを眺めながら、詩人の胸中にはさまざまな感情が渦巻きます。人生の波乱を経て辿り着いた遠地で、改めて故郷やかつての友人を想う一方、厳しい現実を前にしても、自然の広大さや力強さに目を向けようとする視線がうかがえます。
冒頭の「城上高楼接大荒」は、城の上にそびえる高楼から見わたす限りの荒涼とした情景を示します。視界の果てに広がる荒地は、まるで詩人の行く末を暗示するかのように雄大でありながら、冷ややかな雰囲気を漂わせます。続く「海天愁思正茫茫」では、海と空の果てない広がりに、尽きることのない憂いを重ねているのです。
三、四句目の「惊风乱飐芙蓉水,密雨斜侵薜荔墙」では、乱暴な風や密集する雨の描写によって、静かな風景だけではなく、荒々しく変化する自然の側面が強調されます。生き生きとした描写の中に、詩人が置かれた環境の厳しさや自らの不安な心情が織り込まれています。
五、六句目の「岭树重遮千里目,江流曲似九回肠」は、続く山々や何度も曲がりくねる川を通して、遠く見通せない現実と絡み合う複雑な思いを可視化しています。ここには、人生の前途が容易に見通せないもどかしさや、行く先々での苦悩が暗喩的に読み取れます。
最後の「共来百越文身地,犹是音书滞一乡」に至っては、柳州を含む百越の地という異文化圏へ流されてきた作者の境遇と、故郷からの便りすら届かない孤独感を端的に示します。親しい人々やかつての生活の手がかりが途絶えたまま、流転の地に根を下ろすしかない哀切な情がじわりと湧きあがるのです。
柳宗元の詩は、政治的に強いられた状況や環境の厳しさに加え、広大な自然に対する畏敬や哀愁を描くことで、読む者の胸に深い余韻を残します。なかでもこの作品は、遠くから故郷を思い、なおも届かない消息に寂しさを抱きながらも、辺境の壮麗な景観と力強く生きる人々への目配りを忘れない詩人のまなざしを感じることができます。
・遠く広がる荒涼とした景色と、無限に続く憂いの象徴性
・風雨や山川の描写を通じて表される、柳宗元の複雑な心境
・故郷や旧友との断絶感と、新たな土地への微かな敬意や関心