[古典名詩] 东郊 - 都の官吏が郊外に求める安らぎと春の息吹

Eastern Suburbs

东郊 - 韦应物

东郊 - 韦应物

都郊外に響く流鶯と疲れし官吏の嘆き

吏舍跼朝谒,
役所では朝の拝謁に身を縮め,
In the official quarters, I crouch for the morning audience,
傍人亦苦辛。
まわりの人々も同様に苦しみ辛い思いをしている。
And those nearby likewise endure hardship and sorrow.
东郊何所有?
東郊にはいったい何があるのだろう,
What might be found in the eastern outskirts?
草际多流莺。
草むらには流鶯の姿があふれている。
Amid the grass, there are many orioles in full song.

この詩は唐代の詩人・韦应物が、都(長安)の官吏としての息苦しさと、郊外に広がる春の豊かな気配を対比的に描いた作品です。冒頭の二行では、朝の拝謁に身を縮めざるを得ない役所での窮屈さや、周囲の人々もまた同じように苦しみを抱えていることが示唆されています。官吏としての地位や責任はあるものの、日々の激務や束縛が続く中、どこか安息を見いだしたいという作者の心情がうかがえます。

後半の「东郊何所有?草际多流莺。」では、都のはずれの東郊に広がる自然を想像し、そこに生き生きとさえずる流鶯の姿を描き出します。都心の喧噪や公務の煩わしさから離れた場所にこそ、解放感や安らぎがあるのではないかと夢見るような思いが込められているのです。草むらに潜む流鶯のさえずりは、春の訪れを象徴するものであり、同時に作者にとっては束の間の希望を感じさせる存在でもあります。

韦应物は官僚として働きながらも、人間の繊細な感情や自然の情景を簡潔かつ情趣深く表現する作風で知られています。この詩も、都という政治の中心地と郊外の自然が対照的に描かれ、短い詩行ながらも官吏としての苦労と、自然に救いを求めるひそやかな望みが鮮明に伝わります。唐代当時、多くの文人が政治や官界のしがらみを感じつつ、自然への憧れや隠遁願望を表現してきました。本作もそうした文人の典型的な心情を、みずみずしい春の鳥のイメージと絡めて示しているのです。

詩の最後で「草际多流莺」と結ばれるところに、作者が外界の穏やかな時間と自らの求める自由を重ね合わせた意図が見え隠れします。束縛の多い都生活に反して、春の息吹を感じる郊外の自然がどれほど魅力的に思えたかを想像すると、わずか四句の中にふくまれる作者の思いの深さをより強く感じることができます。

要点

・官吏としての勤めに疲弊する作者の苦悩
・都会の喧騒と対照的な郊外の自然と流鶯
・短い詩行で表現される唐代文人の隠遁願望と春の象徴

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