[古典名詩] 失楽園(第六巻) - 詩の概要

Paradise Lost (Book 6)

Paradise Lost (Book 6) - John Milton

失楽園(第六巻) - ジョン・ミルトン

天界の大戦争と神の絶対力が躍動する巻

All night the dreadless Angel unpursu'dThrough Heav'n's wide Champain held his way, till Morn,Wak't by the circling Hours, with rosy handUnbarr'd the gates of Light. There is a CaveWithin the Mount of God, fast by his Throne,
夜を通して、この恐れを知らぬ天使は誰にも追われず天界の広大な平原を行き続け、やがて朝を迎える。時の輪が呼び覚ました曙は、その薔薇色の手で光の門を解き放つ。そこには神の玉座のすぐそばに洞窟があり、
Where light and darkness in perpetual roundLodge and dislodge by turns, which makes through Heav'nGrateful vicissitude, like Day and Night;
光と闇が交互に出入りし続けるため、天界にはちょうど昼と夜のように心地よい移り変わりをもたらす。
... (excerpt) ...

ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』第六巻は、ラファエルがアダムに語る“天界の大戦争”のクライマックスを描いています。第五巻でサタンの反逆と天使たちの配置が説明されたのに続き、この巻では忠実な天使軍と堕天使軍のあいだで熾烈な戦いが繰り広げられます。前半ではラファエルが“神の力を信じる忠実な者”たちの奮戦ぶりを語り、サタン側の軍勢との攻防が白熱していく様子を細緻に描写しています。

とりわけ印象的なのは、堕天使たちが悪意と独創性をもって考案する“武器”の数々や、天使同士の戦闘が“形而上の力”と“物理的攻撃”の融合として表現されている点です。さらに、ミルトンは“神の御子(キリスト)”が最終的に登場して敵軍を一掃し、サタンたちを天界から完全に追放する流れを荘厳かつ劇的に描きます。天使の軍勢だけでは決着がつかないところに“神の御子の絶対力”が示されることで、神の権威や愛の大きさがいっそう強調されているのです。

これにより、読者は“神への反逆”の無謀さを痛感するだけでなく、天界における秩序や正義の形がいかなるものかを改めて意識させられます。『失楽園』第六巻は、アクション性の高いシーンと神学的テーマが交わる、物語の大きな山場の一つとなっています。

要点

• ラファエルの語りを通じて“天界の大戦争”が本格的に描かれる
• サタン率いる堕天使軍と忠実な天使軍の攻防がドラマチックに展開
• 神の御子が登場し、圧倒的な力でサタンを追い払う決定的場面がクライマックス
• 神の権威や秩序に背くことの愚かしさと、天界の正義や愛の壮大さが強調される巻

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