Song (Go and catch a falling star) - John Donne
落ちる星を捕まえて (Song) - ジョン・ダン
Song (Go and catch a falling star) - John Donne
落ちる星を捕まえて (Song) - ジョン・ダン
「Song(Go and catch a falling star)」は、ジョン・ダンが残した“愛”をめぐる形而上詩の一つですが、その語調には軽やかさと諧謔(ユーモラスな皮肉)が漂っています。冒頭で、落ちる星を捕まえたり、マンドレイクの根を妊娠させる、悪魔の足がどうこう……といった一見荒唐無稽なイメージを列挙することで、不可能を成し遂げるかのような極端な例えを示します。そして最終的には、“誠実で美しい女性を探し出すこと”も、そうした不可能な課題の一つだと皮肉を込めて主張しています。
全体としては、女性の不実や変わりやすさを強調する内容であり、口調は軽快でも、その奥にあるメッセージはやや辛辣です。ダンは形而上詩の特徴である大胆な比喩や論理の跳躍を活かしながら、言い切りで締めくくることで読者に強い印象を残します。また、彼の他の愛の詩と比べるとロマンティックな要素が少なく、あえてシニカルに世の真実を突く姿勢が際立っています。
男女の愛を理想化するのではなく、どこか戯画的に描写することで“人間的弱さ”や“恋愛への不信”を浮き彫りにするのは、ジョン・ダン特有の文学的手法とも言えるでしょう。読者によっては、この詩を単なる女性批判と見るか、恋愛の不確かさを諷刺したものと見るかで解釈が変わりますが、いずれにせよ豊かなイマジネーションと巧みな韻律に彩られた、形而上詩の名作です。
• “落ちる星を捕まえる”など不可能な例えを並べ、誠実で美しい女性を探す難しさを皮肉る
• 軽妙なリズムと大胆な比喩が特徴のジョン・ダンの形而上詩
• 女性批判とも読めるが、恋愛一般の不確かさを言い当てる諷刺的要素も
• ロマンティックなイメージよりも辛辣な諧謔を主軸とした異色の一篇