Laughing Song - William Blake
「ラフィング・ソング」 - ウィリアム・ブレイク
Laughing Song - William Blake
「ラフィング・ソング」 - ウィリアム・ブレイク
「ラフィング・ソング」は、ウィリアム・ブレイクの『無垢の歌(Songs of Innocence)』に収録された詩のひとつで、自然界と人々が一体となって笑い声を交わす光景を生き生きと描き出しています。ブレイク特有の無垢な雰囲気が全編にあふれ、森や丘、小川、さらには虫や鳥までが笑いの声を響かせ、その笑いに子どもや人々が加わることで、世界全体が喜びの合唱へと包まれていく様子が印象的です。
冒頭では、森や川、空気、丘が順に“笑う”という表現が繰り返され、単なる擬人化を超えて、自然が有機的に呼吸を合わせるかのような一体感を読者に感じさせます。緑の色彩や小川の動きといった具体的なイメージが伝わることで、読む者もその場にいるような生き生きとした風景を体験できるでしょう。次に、草原でのバッタや少女たちの笑い声が加わると、自然と人間の楽しげなハーモニーがさらに際立ちます。
詩の後半では、彩り豊かな鳥たちが木陰で笑い声をあげている場面が登場します。ここでテーブルの上に用意されたさくらんぼや木の実は、自然の恵みや人と自然の調和を象徴しているかのようです。最後の呼びかけ「Come live & be merry and join with me」は、読者までもがその愉快な輪に誘われているように感じられます。まるで全世界が「笑い」によって繋がり合い、新しい生命の祝福が繰り広げられているという印象を受けるのです。
本作を理解する上で重要なのは、ブレイクの描く「無垢」と「自然」の融合です。彼にとって、無垢とは単に子どもっぽさを指すだけではなく、世界をあるがままに喜びや祝福をもって受け入れる姿勢でもありました。自然がそのまま生き生きと笑い、人間もそこに加わる様子は、社会の制約や宗教的な戒律などの“経験”に縛られない自由な魂の状態を示唆しています。そこには、ブレイクが追い求める「人と自然の調和」が純粋な形で描き出されており、読む側もまた心を開放するような感覚を得ることができるでしょう。
「ラフィング・ソング」は、読みやすく短いながらも、自然の活力や人々の楽しさを詩的に凝縮した作品です。繰り返される「笑い」は、ただの娯楽ではなく、生きる喜びそのものを象徴しています。ブレイクは、その笑いが世界のすべてに浸透し、人間も含めたあらゆる存在が互いの声に応じ合う光景を言葉で紡ぎ出すことで、“無垢”がもたらす幸福感を鮮やかに提示しているのです。
• 森や丘、川、鳥など、自然全体が笑い声を交わすユニークな描写
• 子どもや人間も一緒になり、世界が一体となって喜びを歌う構成
• “無垢”と“自然”が結びつくことで、社会的制約のない自由な魂を表現
• ブレイクの詩のなかでも特に朗らかで鮮やかなイメージに満ちた一篇
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