[古典名詩] ナイチンゲール(対話詩) - 自然と鳥の歌を通じた心の旅路を描いた叙情詩。

A serene moonlit forest with a nightingale perched on a branch, softly singing under the silver glow of moonlight. The scene should include lush greenery, soft mist floating between trees, and an atmosphere of calmness and contemplation.

The Nightingale (A Conversation Poem) - Samuel Taylor Coleridge

ナイチンゲール(対話詩) - サミュエル・テイラー・コールリッジ

夜の調べ:ナイチンゲールとの出会い

No cloud, no relic of the sunken day
雲もなく、沈んだ日の遺物もなく
Distinguishes the West, nor shady bloom;
西の空を特徴づけず、陰りも咲かず;
But in the light of the nocturnal skies,
しかし夜空の光の中では、
The Nightingale's sweet voice melodiously
ナイチンゲールの甘い声が美しく
Thrills through the darkened grove. O list! O list!
暗くなった森に響き渡る。お聞き!お聞き!
The vernal echoes are not mute; they swell
春のこだまは静寂ではなく、膨らみ
With music that might charm the stars to hear:
星々を魅了する音楽と共に:
And I have heard it said, that oftentimes
そして私は聞いたことがある、しばしば
The melancholy bird, with plaintive note,
憂鬱な鳥が、悲しげな音色で
Sings by the moonlight, and its mournful strain
月明かりの中で歌い、その哀れな調べが
Awakens in the heart a thousand thoughts
心に千の思いを呼び起こす
Of tenderness and love.
優しさと愛の。
'Tis said, that when the Syrian Maid was doomed
シリアの乙女が運命づけられた時、と言われる
To exile from her native land, she wept
故郷から追放され、彼女は泣いた
Beneath some alien tree; and as she wept,
異国の木の下で;そして彼女が泣くにつれて、
Her tears fell fast upon the leafy boughs,
彼女の涙が葉の枝に速やかに落ち、
And from those tears there sprang a tuneful voice,
その涙から調和の取れた声が生まれ、
Which warbled forth her sorrow—and since then,
それは彼女の悲しみを歌い出し―それ以来、
That selfsame voice, which first in sorrow flowed,
最初に悲しみの中で流れたその同じ声が
Hath filled the bosom of the lonely night
孤独な夜の胸を満たしてきた
With harmony divine.
神聖な和音で。
Now, while the heavy eyelids droop, and sleep
今、重い瞼が閉じ、眠りが
Steals o'er the senses, let us linger here,
感覚を覆うとき、ここで留まろう、
Listening this wild and woful melody,
この荒々しくも哀れな旋律を聞きながら、
Till Fancy paints the visionary scene
幻想が幻の風景を描くまで
In colours richer than the Tyrian dye.
ティリオ染めよりも豊かな色彩で。
Methinks I see the Syrian Maid again,
私は再びシリアの乙女を見ている気がする、
Wandering beneath the umbrageous canopy,
日陰の天蓋の下を彷徨い、
And pouring forth her soul in passionate song;
情熱的な歌で魂を注ぎ出しながら;
While all around her droops in silent gloom,
周囲全てが静かな暗闇に垂れ幕のように沈み、
Save where the silver starlight sleeps upon
銀の星明かりが静かに横たわる場所を除いて
The rippling wave, or gilds the distant hill.
さざ波や遠くの丘を金色に染める。
O Nightingale! thou surely art a type
おお、ナイチンゲールよ!あなたは確かに象徴である
Of those who suffer deeply, yet complain not;
深く苦しみながらも不平を言わない者たちの;
Who bear their sorrows meekly, like the dove,
悲しみを鳩のように従順に背負う者たち、
And make their moan in silence. Even so,
そして黙って嘆く。同様に、
Thou pourest forth thy soul in many a lay,
あなたは多くの詩の中で魂を注ぎ出し、
Yet never tellest to the world thy griefs.
しかし決して世界にあなたの悲しみを語らない。
But oh! how oft doth Pity’s gentle tear
しかし、ああ!どれほど頻繁に憐れみの優しい涙が
Gush forth at thy complaining; and how oft
あなたの訴えに溢れ出し、どれほど頻繁に
Doth Sympathy, with soft and soothing hand,
共感が、柔らかく慰める手で、
Wipe off the dewy drops that gem thy cheek!
あなたの頬を飾る露の滴を拭き去るだろう!
Thus, while we muse on Nature’s loveliness,
こうして、私たちは自然の美しさについて考え、
And listen to thy song, our hearts are touched
あなたの歌を聞きながら、私たちの心は触れられる
With feelings known before, but now renewed—
以前にも感じたことのある感情だが、今新たに―
Feelings that link us closer to the earth,
私たちを地球により密接に結びつける感情、
And teach us how to prize each simple joy
そして各々のシンプルな喜びを大切にする方法を教える
That glads the quiet hour. So may it be,
静かな時間を喜ばせる。だからそうであれ、
When life’s brief summer flies, and age comes on,
人生の短い夏が過ぎ、老いが訪れるとき、
That we may find, amid the gathering shades,
我々が集まる影の中で見つけられることを願う、
Some solace still in thee, sweet Nightingale!
あなたの中にまだ慰めがあることを、甘いナイチンゲールよ!
Some solace in thy voice, whose magic tones
あなたの魔法のような音色を持つ声の中に慰めがあり、
Shall soothe the pensive mind, and bid it dream
沈思する心を癒し、夢見るように促し
Of happier days gone by.
過ぎ去った幸せな日々を。

詩の概要:

「ナイチンゲール(対話詩)」は、サミュエル・テイラー・コールリッジによって書かれた詩で、自然と人間感情の結びつきを深く探求しています。この詩では、夜の静けさの中で響き渡るナイチンゲールの歌声を通じて、悲しみや孤独、そして美しさが表現されています。

詩の内容とテーマ:

詩は夕暮れから始まり、空に雲一つない中、西の空には沈んだ太陽の跡形もないという描写から入ります。ここでの背景は暗闇ですが、その中にナイチンゲールの甘美な歌声が響き渡り、読者を魅了します。この鳥の歌は春のエコーとして響き渡り、星々さえも魅了するほどの音楽性を持っています。

ナイチンゲールの歌はただ美しいだけでなく、聴く者の心にさまざまな思いを呼び起こします。特に、愛や優しさといった感情が浮かび上がり、詩人はこの鳥の歌を聴くことで、深い感動を受けます。ナイチンゲールの声は単なる自然界の音ではなく、古代シリアの女性の悲劇的な物語と結びついています。

シリアの乙女の物語:

詩の中では、シリアの乙女が故郷から追放され、異国の地で嘆きながら涙を流したという伝説が紹介されます。彼女の涙が木々に落ち、そこから美しい歌声が生まれたと言われています。この歌声は、彼女の深い悲しみを表し、その後も夜の静寂の中にそのハーモニーを響かせ続けています。

この物語は、ナイチンゲールの歌が単なる鳥の鳴き声ではなく、人間の苦しみや哀しみの象徴であることを示しています。ナイチンゲールは自身の苦しみを黙って耐え、それを歌声に変えて発散している存在であり、それが人々の共感を呼ぶ理由でもあります。

詩人の思索と感情:

詩人は、ナイチンゲールの歌声を聞きながら、自然の美しさとそれに触発される感情について深く考えます。この歌声は、詩人に過去の感情を思い出させ、人生におけるシンプルな喜びの大切さを再認識させます。

また、ナイチンゲールは苦しみを抱えながらもそれを声高に訴えることなく、静かに受け入れている姿勢が強調されています。これは、悲しみや困難を耐え忍ぶ人間の姿と重ね合わせられています。ナイチンゲールの歌声は、同情と共感を引き出し、私たちの心に柔らかな慰めを与えてくれます。

結びと教訓:

詩の最後では、詩人はナイチンゲールの歌声が将来の人生においても慰めとなるだろうと述べています。特に、人生の短い夏が過ぎ、老境に差し掛かった時にも、ナイチンゲールの歌声が過去の幸せな日々を夢見させてくれると信じています。

この詩は、自然と人間の感情の密接な関係を描きつつ、ナイチンゲールという鳥を通じて、悲しみや孤独を乗り越える力、そしてそれらを美しく昇華させる力の大切さを教えてくれます。

主要なテーマ:
  • 自然と人間感情の融合
  • 悲しみとその昇華
  • 同情と共感
  • 人生におけるシンプルな喜びの価値
まとめ:

「ナイチンゲール(対話詩)」は、単なる自然賛歌ではなく、人間の内面的な感情や哲学的な思索を含んだ深い作品です。ナイチンゲールの歌声を通じて、私たちは悲しみや孤独と向き合い、それらを乗り越える方法を見出すことができるのです。

要点

この詩は、ナイチンゲールの美しい歌声が人間の感情や想像力を呼び起こし、孤独や人生の儚さについて深く考えさせることを教えてくれます。また、自然の中で見出される慰めや美しさ、そしてその一瞬一瞬の大切さを感じ取ることができます。

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