迎新春(上元启节) - 柳永
迎新春(げいしんしゅん)(上元啓節) - 柳永(りゅうえい)
迎新春(上元启节) - 柳永
迎新春(げいしんしゅん)(上元啓節) - 柳永(りゅうえい)
柳永(りゅうえい)が詠んだ「迎新春(上元啓節)」は、上元(旧暦正月十五日)の夜に行われる華やかな灯火の祭りを背景に、春の到来を明るく歓喜にあふれた筆致で描き出した作品です。舞台となるのは満天の灯籠や人々の喧騒が渦巻くにぎやかな街中で、そこには月宮殿からの仙楽が響くかのような幻想的なイメージも織り込まれています。
まず冒頭では、玉や金が鳴り響く音が暗示するように、華麗で祝祭的な情景が開幕します。続く部分で、彩り豊かな絵ろうそくや花市が一層の活気をもって広がり、人々は美しい服装に身を包んで通りを埋め尽くす様子が伝わります。歓声や歌声、太鼓の響きとともに、遠くからは玉飾りの澄んだ音もかすかに聞こえてくる――そうした多彩な音や色彩が読み手の想像をかき立てるのです。
やがて視線は端門から見渡せる無数の灯火へと向かい、まるであちこちの楼閣が赤い花で満たされているかのように感じられます。そこに浮かび上がるのは、春色の妖艶さ。まさに「春を攀摘したいほどに心を奪われる」状態であり、続く詞句では「花を前に酒を酌み交わして、友人や客人と遊び歩く」といった、解放感に満ちた春宵の楽しみが鮮やかに描かれます。
夜の長さを告げる玉漏はまだ時を刻み始めておらず、人々はこの一夜を惜しみなく堪能します。家に閉じこもる気にはなれず、錦を飾った車や香り高い車に揺られながら、あたり一面のにぎわいを楽しんでいる様子が、明るい笑顔や弾む気配とともに伝わってきます。この作品には、柳永特有の優美な表現だけでなく、お祭りという晴れやかな場に乗せられた情熱と歓喜、そして春への期待感が詩全体に満ち溢れています。
当時、上元節の夜は火樹銀花と称されるほど多くの灯籠や花火で彩られ、男女が自由に行き来し、普段とは異なる賑わいと解放感が味わえる特別な祭りでした。柳永はそのにぎやかさと幻想性を、巧みな筆さばきと華麗な辞句で描き出し、読み手に臨場感あふれる春の宵の浮き立つような空気感を伝えています。視覚、聴覚、嗅覚まで刺激されるような言葉の選び方が、この作品の魅力を存分に高めていると言えるでしょう。
・上元節の夜の華やかな灯籠や祭りの様子を、音と光の重層表現で鮮やかに描いている
・外面的な華やぎと内面的な春への期待感が織り交ざり、読者に喜びと高揚感を与える
・柳永の巧みな言葉選びが、五感に訴える臨場感あふれる祭りの風景を生き生きと表現している