鹧鸪天(寒日萧萧上锁窗) - 李清照
鷓鴣天(しゃっこてん)(寒日萧萧上锁窗) - 李清照(り せいしょう)
鹧鸪天(寒日萧萧上锁窗) - 李清照
鷓鴣天(しゃっこてん)(寒日萧萧上锁窗) - 李清照(り せいしょう)
「鷓鴣天(寒日萧萧上锁窗)」は、宋代を代表する女流詞人・李清照(り せいしょう)の作品の一つです。詞牌である「鷓鴣天(しゃっこてん)」の調べに乗せて、夕陽の光と冷たい風、そして別離の憂いや孤独感が繊細に描かれています。
作品は「寒日萧萧上锁窗」という、静かながらも物寂しさを感じさせる冒頭句から始まります。冬の終わりか、あるいは寒さが残る初春の時期を思わせるような空気の中、閉ざされた窓辺や梧桐の木が、過ぎゆく季節の陰影を一層際立たせます。酒で寂しさを和らげようとする様子や、簾を巻いて外の景色に目を向けながらも、雲と夕陽のコントラストに宿る冷たさが胸に迫ります。
中盤から後半にかけては、「呵手试梅妆」や「却恨东风吹梦长」といった表現が、女性ならではの繊細な感性を示しています。梅の花のような化粧を施すことで、華やいだ気持ちになろうとしても、春の使者とも言える東風が夢をさらうように吹き抜けてしまう——そこに、希望と失意が同時に描き出されているのが印象的です。さらに、千里先にでも送りたい離愁を受け止めてくれる相手が見当たらないという嘆きが、時代の乱世や作者の個人的な境遇とも重なり、哀愁を深めます。
最後の「栏杆空对斜阳」は、手すりに寄りかかりながら眺める夕陽の美しさと、そこに癒されるどころか一層強まる孤独感を象徴的に示しています。黄昏時の光は通常、帰るべき場所や暖かい家族の団欒をイメージさせる一方、李清照の詞においては、しんみりと心に染みる哀愁の演出として機能しているのが特徴的です。
このように、本作は日常の小さな情景(梧桐の霜、東風、夕陽など)に深い感情を重ね合わせ、人生のはかなさや別離の悲しみを凝縮して表現する李清照の詞風がよく現れています。限られた字数の中に、移ろう季節感や繊細な心の動きが巧みに盛り込まれ、今なお多くの読者の心を打つ名作です。
・閉ざされた窓や梧桐の霜、夕陽といった情景が、別離や孤独の心情を巧みに補完
・酒や梅妆の華やかさを試みても、東風が夢を吹き消すように哀愁が強調される
・短い詞句の中に、李清照特有の繊細な感性と人生観が深く込められている